【終了】ULA seminar #18
座談会 「知」の前提から「市場とデモクラシー」に向けて
ゲスト:猪木武徳 大阪大学名誉教授・文化功労者
日時:2024年9月19日 14:00-16:00(座談会、zoomあり)、16:00-18:00(懇親会)
会場:講義室8(D棟3階)
猪木先生から事前に伺っている議論のポイントは、次の2点です。
1)「知」の倫理学上の分類、位置づけについて
アリストテレスを出発点に、ヴィーコ、ヒュームなどの考えを振り返る/どの「知」を前提とするのか
2)デモクラシーと市場の「問題解決の手段」としての、構造的同型性、相違、欠陥、その最終的なかたち。両者はあくまで手段であり、目的ではない。
「市場とデモクラシーの構造の同型性」という問いは、今日における代表的な問題解決手段としてのデモクラシーにおける問題点(議会制民主主義という制度、その機能不全あるいは行き詰まりといったもの)と、その同型および相違としての経済的な社会構造・機能との間に、(相互に補完的)密接な関係を示唆するところと思われます。前もってこの問いに向けて1つだけ経済学の立場から述べさせていただくと、この「市場と民主主義」の「欠陥」ということにまつわる重要なキーワードとして、「分断」ということが挙げられると思います。この分断ということは、私たち個々人における「自由」ということ、そして社会「全体」の成り立ちとの調和ということにおいて、経済学がそもそもの出発点としているアダム・スミスの「見えざる手」、あるいはハイエク的「自生的秩序」といった価値観に向けて、むしろその意味を簡単に崩壊させ、放棄させてしまう危険性を孕んでいます。そのような問題について、広くディスカッションできればと思います。
世話人:村上裕美(共通教育)